メタラーまとんがハイソにやらかすようです

東大理系修士卒JTBCエンジニアのハイソサイエティ(上流階級)な日常

「世帯年収1000万円」読了!!ネットで言われている内容を体系的にまとめた良本

ども!アラサーブロガーのまとんです。

「世帯年収1000万円」という書籍を読みました。タイトルが気になって、まんまと手に取ってしまいました。

出版された2023年11月における、世帯年収1000万家庭のリアルな実態を解説した本です。

感想として、「ネットで良く言われている内容を、体系的にまとめた良本」だなぁと思いました!

住宅費は、僕のことを書いているのかと思った

この本の第一章は「住宅費 不動産高騰で消えた「マイホームの夢」高すぎて買えないマイホーム」から始まります。章題からして面白い。

近年の不動産価格が高騰により、夢のマイホームなんてとても買えないですよ、と説明しています。

そこで「5000万円で都心に家は買えるのか」を考え、超都心かつ広々とした新築もしくは築浅はとても無理だが、いくつか条件を妥協すれば可能性はある、としています。

妥協するポイントは、(1)都心から離れる・駅から離れる、(2)築古にする、(3)広さを妥協する、です。

いや、マジでね、僕もつい先日に家を買ったのですが、全く同じことを考えていたので、「もしかして僕のことを書いているのか・・・?」と思いましたね。

僕は(3)広さを妥協しました。僕のマイホームは「駅近・築浅・狭小住宅」がキャッチコピーとなっています。

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僕のまわりのJTBC(Japanese Traditional Big Company、日本の伝統的大企業)社員でも、東大卒の同期でも、山手線の中に家を買った人は、まだ一人もいません。みんな、何かを妥協しています。(一人だけ、予算を妥協して9000万をブチこんだ友人がおりますが、それでも山手線の外側でした)

 

また、この本では「買えないなら賃貸も厳しい」としています。

都内の築浅ファミリー物件では、そもそも供給が少ないこともあり、家賃25~30万が相場。20万では住めない。「本当は狭い家から引っ越したいけれど、賃貸も購入も高すぎて仕方なく今の家の我慢して住んでいる」という人も多い、と書いています。

いやぁ、本当にその通りだと思いました。僕も家探しのときに全く同じことを考えていました。「家賃に25万も払うって、正気か・・・?」と思っていました。それで、なかなか引っ越しできず、気が付けば結婚当初から住んでいる狭いアパートに、子供が2人増えても、なお住み続けている現状がありました。

一回だけ、賃貸3LDKに引っ越せないかと思って不動産屋に行ってみたことがあるのですが、「え?希望家賃15万で3LDK、ですか・・・?はぁ・・・?その金額では、かなり厳しいと思いますが・・・」と、まともに相手にしてもらえず、泣いたことがありました。

教育費、未就学児でも習い事が当たり前

第二章の章題は「教育費 少子化でも加熱する「課金ゲーム」 子供はぜいたく品なのか?」から始まります。章題の煽り力が高すぎる。好き。

僕が気になったのは、未就学児の習い事についての実態です。子供が4~6歳になると56.1%が習い事をしており、多いのは水泳(21.8%)、英会話・英語塾(12.6%)、体操教室(11.5%)、通信教育(10.5%)で、平均して月11500円をかけている。最近では小学校入学時点で25メートルを泳げる子供がざらにいる。英語は2020年度の小学校の学習指導要領の改訂で3年生から外国語活動が始まったことに影響を受け、中学1年生の内容が格段に難しくなっている。最近はプログラミングやロボット教室といったSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)の習い事もある。

本当にそうだなぁと思いました。僕も子供が生まれて、昨今では幼児期からできる習い事が非常に充実していることを感じています。教育はいくらでもお金をかけることができるし、親としても満足度が高いので、アレコレやらせてあげたくなってしまいます。

うちは3歳未満から長女を親子スイミングに通わせていて、僕もめちゃくちゃ楽しい育児生活を送れていました。その甲斐もあってか、長女は体が非常に頑丈で、元気な子に育ったなと感じています。

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共働き家庭の「時間貧困」

第三章では、共働き家庭の忙しさについて、データを引用しています。

僕が気になったのは「時間貧困」というキーワードです。この本を読んで初めて知った言葉です。

ある調査結果によると、子育て中の親が自分の裁量で過ごせる時間は、6歳未満の子供が2人以上いる共働き世帯では、1日の総時間から睡眠や食事などの基礎的な活動時間と家事労働時間、労働時間と通勤時間を差し引いた「裁量時間」が、平均して週に5.1時間。これは共働きでない家族世帯を含めた全体平均の6分の1しかない。さらに、必要な最低限の家事時間さえ確保することができない状態は「時間貧困」と定義され、6歳未満の子供が2人以上いる共働き世帯では39.6%が時間貧困に該当するそうです。

これ、すごいデータですよね。共働き子育て世帯では、1週間に自分の自由な時間が5.1時間しかないということ。1日に1時間も無いということです。さらに、自由時間が全くない時間貧困な世帯が、約40%もいると。

年収1000万で、金銭的にはゆとりがあったとしても、時間的には貧困状態だというのは、なんとも皮肉な話だなと思いました。金が欲しいか、時間が欲しいか。人生の優先順位を考えることが大事だなと思いました。

国民的キャラクターでの試算は分かりやすくて面白い

第4章では、国民的キャラクターをモデルケースとして、「年収1000万だった場合の家計(子育て~リタイア後まで)」を試算しています。

キャラクターの雰囲気が頭に浮かぶので、とても分かりやすい試算だなと思いました。

クレヨンしんちゃんの野原家、実はミサエも働いた方が有利

最初のモデルは、クレヨンしんちゃんの野原家。野原ひろし35歳が年収1000万だったと仮定して、子供ふたり(しんのすけ5歳、ひまわり0歳)、埼玉の新築戸建て庭付き、の家計を試算しています。

ざっくり、しんのすけとひまわりが大学まで公立だった場合には、家計にゆとりがあるようです。一方、二人とも中学から私立に進んだ場合には、大学在学中(自宅通学)に貯金がギリギリ底をつきそうになるが、なんとか借金はせずに耐えて、退職金で老後はなんとかなる。という試算でした。

興味深いのが、「共働きの方が金銭的にはずいぶんとゆとりが生まれる」という試算結果です。すなわち、野原ひろしが一人で1000万を稼ぐよりも、ひろし700万+みさえ300万の共働きで世帯年収1000万の方が、ゆとりが生まれます。僕はてっきり、共働きの方が保育園の費用がかかって不利なのかと思っていたのですが、実は違いました。

ひまわりが0~3歳の間は保育園に入れないといけないので保育料負担は増しますが(-65万/年)、ひろしの年収が低いので、所得制限に引っかからずに児童手当が満額もらえること(+18万/年)税・社会保険料の支出が減ること(+31万/年)がプラスに働きます。

ひまわりが3歳になった後は幼児教育・保育が無償化になるので、純粋に、ヒロシの年収が低いことによるアドバンテージ(所得制限解除、税・社会保険料の減少)が働きます。

さらに、みさえが働いていることで、老後にみさえが厚生年金をもらえて年金受給額が増えることと、みさえも退職金を受け取れることを計算に入れると、老後はかなり有利になるようです。

このシミュレーション結果「片働きで1000万より、共働きで1000万の方が、金銭的にはかなり有利」は、僕にとってかなり学びがありました。(ただし、共働きなので、「時間貧困」な家になる可能性はアリ)

サザエさんのノリスケ家、たらちゃんに弟or妹ができるとキツい

二つ目のモデルケースは、サザエさんから。

ここで良いなと思ったのが、モデルケースとしてサザエさん一家ではなく、ノリスケ一家を採用していることです。これはめちゃくちゃ良いなと思いました。なぜなら、サザエさん一家を採用してしまうと、「世田谷区(桜新町)の広大な実家に住んでいて、住宅費ゼロ」という、現代ではほぼありえないチート家庭になってしまいます。

それよりは、世田谷区に中古マンションを買ったノリスケ一家の方が、モデルケースとして適切でしょう。

このケースでは、タラちゃんが小学校受験(おじゅけん)をして私立小学校に行ったとしても、わりと余裕という試算結果が興味深いです。これは、ノリスケが弱冠25歳にして年収1000万を稼ぐという超エリートサラリーマンを想定していることに起因しています。ひろし35歳とノリスケ25歳を比べると、やはり、若い頃から稼いでいる方が、その分、子供も早く巣立つので、老後資金を貯める観点でも有利です。

しかし、この試算で面白いのは、「仮にたらちゃんに弟or妹ができたら?」というケースです。ノリスケ25歳、タイコ22歳なので(若いな)、全然あえりるパターンですね。子供二人が中学から私立に行くと、一気に家計が破綻するようです。特に、たらちゃんが大学に入った時点で借金地獄に突入します。

一方で、タイコさんが働けば、なんとか耐えられるという試算結果が面白いです。タイコさんが扶養の範囲内で年103万稼ぎ世帯年収1103万にすれば、子供二人が中学から私立でも、ギリギリなんとかなるようです。これは非常にリアルな試算結果だなぁと思いました。

ちびまる子ちゃんのヒロシ家、子供が大学で静岡を出ると家計が破綻する

最後に、ちびまる子ちゃんから、まるちゃん一家の試算です。これも面白い。

ヒロシは40歳、自営業で年収1000万としています。このモデルケースのポイントは、両親の家に同居しているので住宅ローンがかからない点と、静岡県に住んでいるので子供二人が大学で一人暮らしをする点です。

ざっくりいうと、子供が大学に行くと仕送りが多すぎて、家計が破綻します。また、自営業なので70歳まで無理して働けると仮定しても、退職金が無く、厚生年金が無いので年金受給額が低く、老後の家計も破綻するということです。今までで最も悲惨なモデルケースでした。

具体的に見ていくと、住宅ローンはかからないとはいえ、祖父母に家賃として月5万を入れており、20年後に両親が90歳が亡くなったら家を相続して、年12万の維持費(固定資産税、火災保険)がかかり、10年ごとの外装・リフォーム代100万がかかります。また、高齢の両親と同居しているため、両親が父75歳、母80歳のときから介護費用が年50万、葬儀費用が100万かかります。

同居すれば支出が抑えられるかと思いきや、「同居している長男」をリアルに考えると、かなり支出があるんだなという気づきを得ました。

まるちゃん一家の対策としては、まるちゃんとお姉ちゃんに大学で月10万の奨学金を借りてもらうとか、仕送りを減らしてアルバイトしてもらうとか、ヒロシが体に鞭打って75歳まで働くとかすれば、少しは改善ができるという試算をしていますが、どれもキツい対策だなぁと思います。

一般に「東京よりも地方の方がお金にゆとりがある」と思われがちですが、地方で年収1000万だとしても、「子供が大学で他県に出て一人暮らしをしてしまう」場合のダメージは、あらゆるアドバンテージを吹っ飛ばすほどの威力があるんだなぁ、という学びを得ました。

 

「世帯年収1000万円」、めちゃくちゃ面白い良本でした!!

214ページと短くてすぐに読めるので、みなさん是非読んでみてください!

以上、メタラーまとんでした。

ではでは。