メタラーまとんがハイソにやらかすようです

東大理系修士卒JTBCエンジニアのハイソサイエティ(上流階級)な日常

「Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦」を読んだ!西川さんを目指していく

ども!まとんです。

2020年3月18日に発売されたPFN(プリファードネットワークス)社の創業者が書いた書籍「Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦」を読みました。 

スパコンが世界一になる前に書かれた本

この本が書かれたのは2020年2月で、その後の6月23日、PFNはスパコンの省電力性能ランキング「Green500」で世界1位を獲得します。

www.msn.com

Green500を受賞したスパコン「MN-3」は、本の中ではまだ「2020年に稼働を予定している」と書かれています。

ついに世界から1位性能を認められた今、PFNの勢いはすごいですね。

こういった背景を知った上で読むと、また違った見え方が見えてきます。

転職できるものならしたい

僕にとってのPFNは、憧れの存在です。

Googleの転職試験に落ちた後にPFNの採用ページを見ると、「論文でもブログでもGitHubでも、何でもいいから、お前の技術力が分かるものを添付して送れ(要約)」と書いてありました。

で、自分のポートフォリオを考えてみると、自信をもって言えるものが何もなくて、まずは公開成果ができるように今の仕事を頑張ろう・・・、と思って1年半経ってしまった。

今、採用ページを見ると、募集はしていないようですね。コロナの影響で採用が減っているのだろうか。インターンもリモート開催になっているようです。

preferred.jp

 

では、本書を読んだ感想です。

西川さんと岡野原さんがお互いにリスペクトする関係が良い

本は8章構成で、社長の西川さんと副社長の岡野原さんがそれぞれ1章ずつ担当して書いているのですが、お互いを「すごいやつ」とリスペクトしているのがすごく良いなと思いました。夫婦漫才を見ている気分でした。

西川さんは岡野原さんのことを「彼には理解できないことがない」と言うし、岡野原さんは西川さんを「コンピュータに本当に詳しい。東大の異常値」と言う。

 

僕が一番好きな西川さんの書きっぷりはここでした。

岡野原とはこういう話はあまりしていないが、説得すれば「意外といいかもね」と言って、一緒に500年後を見てくれると信じている。

引用元:Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦

一緒に本を書いているのだから、話をした上で書けばよいのに・・・と思ってしまいましたが、お互いに気恥ずかしい部分がある距離感と、それでも絶対的な信頼を置いている側面がよく分かる書きまわしでした。

こういう生涯の相棒を見つけられたのは、素直に羨ましいなと思いました。

 

そもそもお二人は東大の理一で同クラ(1年生の時の語学が同じ20人程度のクラス。1年半は同じ必修科目を受ける)だったようです。

僕は同クラの友達とはもうほとんど疎遠になってしまったので(Twitter上でオウとか言い合うヤツはいる)、そこで人生を決める出会いをできたのは羨ましい。

第2章は西川さん目線から語られる創業の話になっていますが、学生時代の話は共感できる部分が多くて、「やっぱり同じ大学の先輩なんだな」と思えて面白いです。

しかし、二人の能力が高すぎて、自分がみじめな気持ちになる。

(東大では周りがすごすぎて、「自分なんて、、、」と惨めになったり、「大学はどこですか?」「(自分なんてクソ雑魚ですが)いちおう、東大です」と言ってしまう現象)

 

西川さんらは修士1年のときに起業していて、みんな研究しているときに西川さんは顧客のデータセンターでデバッグ作業に明け暮れていたそう。

で、卒業が迫って、「卒業はしておくか」と思って1か月でテーマを決めて実験をして修論を書いて卒業したそう。

いたなぁ、こういうタイプの人。学部の研究室で隣の席にこういう人がいました。

できる人って、やるときに一気にワッとやってしまって、やり遂げる力を持ってる。

西川さんは「友人のコンピュータに様々なソフトウェアをインストールしたり、何やらパソコンを改造したり、わけのわからないことをしていた」と岡野原さんが語っており、まさにこういうコンピュータに詳しい人がいました。僕のパソコンにCygwinとか色々入れて環境構築してくれたやつ。

 

僕もこういう、良い意味でおかしな人になりたかった。

西川さんにあこがれる

この本の内容は大別すると、西川さんの自分語りと、岡野原さんの技術的なビジョンになっていて、僕は西川さんの自分語りが好きでした。

 

僕が好きな部分を挙げます。

いつか自分たちのプロセッサーを作ってみたい

コンピュータをやっている人間ならば「いつか自分たちのプロセッサーを作ってみたい」という気持ちはずっと持っているものだ。

引用元:Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦

僕もコンピュータをやっていますが全然共感できなかったけれど、本気でこう考えていて、実際に巨額の投資ができる会社を作って、MN-Coreというプロセッサを作って、スパコン世界一という成果を出した男の生き様に痺れました。

とにかくせっかち

とにかくせっかちで、決まらない状態が嫌いだ。問題が起こったら1日持ち越すのも嫌だ。5分後には解決したい。だから問題が起きたらすぐにPCを開いて関係者を集めて話す。

引用元:Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦

すごく共感しました。僕もせっかちなので、中途半端にしているのが嫌いです。

会議で「改めて考えましょう」とか「引き続き相談させてください」とか「検討を続けます」とかいう言い方をされるのがすごい嫌。

やるならやる、やらないならやらない、決まらないなら誰がいつまでに決めるか、ハッキリさせてくれないと気持ち悪くて寝れない。

「5分後には解決したい」というのはとても心に残ったので、明日から心がけていこうと思いました。

心惹かれたら、やる。

それまでは私も岡野原も、ロボットには触れる機会がなく、全く興味がなかった。だが、急激にロボットに心惹かれた。同時に、ロボット以外への興味がなくなってしまったと言ってもいい。帰りの車中では岡野原と一緒に「もう他の事業はやめたい。それでもういいんじゃない?ロボットやろうよ」「うん、いいね。これだ!」という話になった。

引用元:Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦

ファナックと出会い、ロボット事業へとシフトしていくときのエピソード。

深層学習とロボットというスジの良い組み合わせに気が付き、即座に自分たちの道を決めていけるスピード感に感服しました。

技術者をやっていると、スジの悪いことをやっている自覚があると気分がズーンと落ち込んでいくものですが、スジ良しに出会ったときに、お二人のようにすぐに自分を変えられるよう、常に柔軟でいようと思いました。

PFNにあこがれる

PFNという会社に憧れた点を挙げます。

職種の壁はなくして分業しない。技術者が直接お客様と話をし、ビジネスもやる。

PFNでは、日本企業っぽうジェネラリスト的な考えではあるが、技術者がお客様と直接会話することで、情報が最短経路で伝わるようにしている。

この考え方は僕は非常に好きです。

営業や「担当窓口」などを設けてしまうと、その人と会話する社内間接業務に無駄なコストがかかるし、結局、技術的な内容は自分で話をしないとうまく伝わらない。

僕が勤めている会社では、幸いにも技術者が直接お客様と会話して、ヒアリング・実験・報告・提案活動できる職種をさせて貰えているので、この点は満足しています。

ビジネスは研究開発するための「手段」と言い切る

普通の会社では、「ビジネス(金儲け)をするために製品を作る必要があり、そのために研究開発する」というロジックで動きます。

僕なんかの一端の技術者が「こういう技術が必要だからやるんだよ!」と言っても、「それはビジネスにどう貢献するんだ?ビジネスにならない技術はいらないよ」とか突っぱねられてしまいます。僕はマジ切れします。

 

しかし、PFNでは逆らしい。

「技術開発をすることが第一。そのためには資金が必要なので、資金を得るために製品を作ってビジネスをする」という。ロジックが完全に逆。こんなことを他の企業で言ったらブン殴られそう。

しかし、「技術で最強になれば、他社は当分追いつくことができないはずだ。ビジネスとしてはそこで様々な参入障壁を築き上げるつもりだ。」と自信をもって言う。

これ、技術者の夢ですよね。自分の技術に絶対の自信があれば、言ってみたい。

しかし、僕なんかのしがない技術だと、「技術だけでビジネスになると思うなよ」とか一蹴されてしまう。つらい。

PFNのような圧倒的な技術を作りたい。作っていくぞ。

 

出身研究室の先生を自分の会社で受け入れるということ

西川さんは、出身研究室である平木先生を、自分で作ったPFNに招き入れています。

www.hpcwire.jp

平木先生と言えば、東大の理学部情報科学科を代表する先生で、僕も2年生の進振り時に理学部のパンフレットで「こんな先生がいるんだ(特にお茶の水博士のような見た目)」と知っていました。

平木先生は計算機の権威で、PFNに入社すると発表されたときはTwitterがザワめいていましたね(「入社したら隣の新入社員に平木先生がいるんだけど」とか)

自分の出身研究室の、大学でも業界でも権威の先生を、自分が作った会社に招き入れるというのは、ちょっと想像もつかないほどの偉業だと感じました。

平木先生はスパコン世界一について、PFNの記事も執筆されておられますね。

tech.preferred.jp

先生と肩を並べて仕事をするって、どういう気持ちなんだろうか・・・。

 

まとめ

今をときめくPFNの情熱に触れて、技術者として奮起させられる内容でした。

「俺が世界一の技術を作って世界を変えるんだ!」という、初心に戻らされました。

みなさんも是非読んでみてください。情熱を取り戻せますよ!

ではでは!