ども!投資ブロガーのまとんです。
ここ連日、楽天証券のポイント改悪が立て続けに発表されており、投資界隈がざわついています。
僕の場合、具体的に何円の改悪になるのか?SBI証券に乗り換えたらどう変わるのか?を調べてまとめました。
また、楽天が考えていることについて、決算の数字から考察しました。
これまでの楽天証券のポイントについて
正直に言うと、楽天経済圏は様々なポイント制度が絡み合っているので、僕自身も全ての制度は理解できていないと思います。楽天社員なら理解できているのだろうか・・・?
その中でも、ポイントの効果が特に高くて「これなら楽天証券がオススメだな!」と意識していたポイント制度は以下の通りです。
- 【これまでの制度1】投資信託を楽天カードで積み立て:1%ポイント付与(上限5万円購入分まで)
- 【これまでの制度2】月500円以上を積み立てし、そのうち1円分でもポイントを使用する:楽天市場のポイントが+1%
「これまでの制度1」は”錬金術”とでも言うべき素晴らしい制度でした。これがあったから楽天証券を選んだ人は多いと思います。
具体的に我が家では、僕と嫁がそれぞれ、毎月投資信託5万円分(つみたてNISA33333円 + 通常16667円)をつみたてて、毎月500ポイントを錬金していました。
僕と嫁それぞれにポイントが入るので、二人合わせて毎月1000ポイント。年間にすると12000ポイントです。
全く何の苦労をすることも無く、毎年12000円分の不労所得を得ることができていました。
年間1.2万円といえば、JT(日本たばこ産業)の100株分(25万円ぐらい)を保有して得られる配当金を、ノーリスクで得られるような感覚でした。
つみたて履歴を確認すると、2018年の8月から投資を始めて、24500円分のポイントを錬金していたようです。
さらに、毎月錬金した1000ポイントは、そのまま次の月のつみたて支払いに充てるので、上記「これまでの制度2」も適用となり、楽天市場のポイントが常に+1%となっていました。
例えば毎年5万円分のふるさと納税をするなら、年間500ポイントを得られていました。
以上をまとめると、これまでの楽天ポイント制度はこうなっていました。
楽天証券のポイント改悪について
2022年の改悪スケジュールは、このページにまとまっています。
2022年4月以降の新サービス開始および各種ポイントサービス等見直しについて| 楽天証券
改悪の発表は「新しく生まれ変わります!!」という明るいニュアンスで書かれるのでタチが悪いなと思います。
「場合によってはお得になる場合もあるよ」という変更なら救いようがありますが、今回の変更ではお得になるケースが全く無いように感じました。
改悪1:投資信託のつみたてが1.0%→0.5%になる
多くの人にとって最も影響が大きいのはこの改悪だと思います。
投信積立での「楽天キャッシュ決済」の開始および楽天カードクレジット決済のポイント還元率の一部変更について| 楽天証券
これまで、クレカつみたてが1%付与だったものが、2022年9月から0.2%付与に改悪なります。
具体的には、夫婦で年間12000円錬金していたものが、年間2400円の錬金になってしまいます。これは完全にNGです。
そこで、これを緩和するために、楽天カード→楽天キャッシュ入金→投資信託つみたて購入、というオートチャージ設定をすると、0.5%付与(年間6000円錬金)になるという制度が追加されます。
2022年12月まではキャンペーンで、さらに0.5%が付与されるため、楽天キャッシュ経由であれば1.0%付与を維持できるようですが、期間限定キャンペーンはいずれ終わるのでノイズです。
「楽天証券のつみたてポイントが、1.0%→0.5%付与に改悪する」というのが、今回の改悪の本質です。
楽天キャッシュ経由のつみたて設定のやり方はまだ公開されておらず、2022年6月下旬から設定できるようになるようです。
つみたて設定をしている人は、2022年6月下旬~7月の間に、忘れず楽天キャッシュ経由の設定を行いましょう。
改悪2:楽天市場+1%ボーナスを得るための条件が困難になった
2つ目の改悪は、楽天市場の+1%ボーナスを得るのが難しくなりました。
楽天市場で開催するSPUに米国株式が仲間入りします!あわせて投資信託のSPU条件も変更となります(4月購入分から)| 楽天証券
記事のタイトルは「米国株式が仲間入りします!」とポジティブな言葉を使っていますが、これは「米国株式も買わないとSPU適用してやらないからな!」という意味です。ヒドいもんだよ。
これまでは、上記の「これまでの制度2」の通り、実質何もしなくとも楽天市場が+1%となっていました。
2022年4月からは以下のようになります、
- 投資信託を毎月30000円購入:+0.5%
- 米国株式を毎月30000円購入:+0.5%
それぞれ、ポイントを1円以上使う必要はあります。さらに、マネーブリッジ(楽天証券と楽天口座の紐づけ)を設定する必要があります。
僕の場合、つみたて設定があるので1つ目の+0.5%は適用されそうですが、2つ目は難しいです。毎月米国株式を3万円分買うのはリスキーなので、受け入れられません。
また、そもそも僕は楽天口座を使っていないので、マネーブリッジの設定ができないため、どちらもNGでした。
結局、我が家では2022年4月から楽天市場の+1%分が失われることになりました。ふるさと納税のポイントも減ることになります。
まとめ:具体的な我が家への影響
以上まとめると、こうなります。
- 投資信託のつみたてから得られる錬金術:年12000円→年6000円に減少
- 楽天市場のポイント:+1%→+0%に減少(ふるさと納税のポイントが1%減少)
- やらないといけないこと:2022年6月下旬~7月の間に忘れずに、楽天キャッシュ経由つみたての設定をやる
SBI証券との比較。SBI証券の方が良いのか?
楽天証券の改悪が発表されると、投資家が「もう我慢できない!SBI証券に乗り換えました!」という記事を書いてアクセス数を稼ぐのは、もはや風物詩となっています。
しかし、実際に「SBI証券にするとこれくらいポイントが貰えるよ」と書いている記事は少ないです。
そこで今回、僕も調べてみたのですが、なるほど。分かったことは、SBI証券のポイントは楽天証券よりも複雑で、人によって条件が異なるため、比較が難しいということです。
以下、僕が1時間かけて調べた結果をまとめます。僕はSBI証券を使ったことがないので、間違っている可能性はあります。ご了承ください。
つみたてカードポイント:使用するクレカによる。Vポイントで付与。
SBI証券のページを見ると、「三井住友カードで、投信積立の買付金額をクレジットカード決済でお支払いすることで最大2.0%のポイントが貯まります。」とあります。Vポイント(三井住友カードのポイント)で付与されるようです。
僕はこの「最大2.0%」という表現が嫌いです。限られた特定条件で2%になると言っているだけで、自分の場合は何%になるのか分かりません。
こういった値は、工学の分野では「チャンピオンデータ(もっとも都合の良いデータ)」と呼び、これだけを示すのは非常に不誠実です。
では、どういう条件があるのか調べると、カードによって%が異なるようです。
上記の表は【SBI証券】大好評!クレカ積立でポイント貯まる|SBI証券からの転載(2022年2月5日にアクセス)です。
僕は三井住友カードとしては「ANA VISA Suicaカード」を使っていますが、「上記以外のVポイントが溜まるカード」におそらく該当するので、0.5%付与なのだと思います。
三井住友カードの嫌なところは、カードごとの個別条件が大量にあるため、本当に自分のカードが0.5%適用なのか分からないところです。
つまり、「※ただしANAカードは除く」という条件が、どこかに書いてある可能性があります(ANAカードはありがち)。調べてもキリがありません。実際にポイントが付与されるまで信用できません。
投信マイレージ:投資信託に年利がつく
SBIでは、保有している投資信託の額に応じて毎月ポイントが付くようです。投資信託に金利が付くイメージです。
楽天証券にも同様のポイント制度がありましたが、見るも無残に改悪したので、もはや考えてすらいませんでした。
SBI証券 - 投信マイレージサービスポイント付与率一覧
こちらに付与率が載っていました。
例えば僕がつみたてNISAで購入している「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」の場合は、付与率が年0.04%のようです。その他、つみたてNISAで人気の投資信託は、年0.03~0.05%程度のようです。
年0.04%ということは、例えば100万円分を保有していれば、100万*0.04%=年間400円。これが毎月分割で貰えるので、400円/12か月=33円。毎月33ポイントが貰えるようです。ふーーん。そうですか。
その他、聞いたこともないような投資信託では、0.15%など高付与率の場合もあるようですが、そもそも人気の無い投資信託は買わないので論外です。
まとめ:SBI証券にしても別に変わらんな
僕の場合を比較すると、こうなりました。
ウーーン。わざわざSBIに変える必要もなさそうだ。
また、以下2点、思うところがあります。
・SBIで得られるVポイントは換金がめんどうです。楽天ポイントなら、翌月のつみたてに充てて毎月換金できるので、手間がかかりません。
・SBIは全体的に、ポイント制度が複雑すぎてイラッとしました。自分のカードだと何%になるのか分からない。そのくせ、サイト上ではチャンピオンデータばかりを載せるスタイル。気に入らないなぁ。楽天は、改悪したとしても、「どんな条件だと何%になるか」をハッキリに書いてくれるので、好感が持てました。
楽天が考えているのは電子マネー業界のポジション確立か。決算から考察
最後に、楽天が考えていることを考察します。
楽天のポイントが改悪するのは、楽天の収益改善のために、まぁしゃーないなと思います。
これまでずっと楽天証券を使ってきたので、簡単に他社に移動するのもめんどくさく、ベンダーロックインのように楽天に縛られてしまうのも、まぁしゃーないなと受け入れています。
僕が少しイラッとするのは、全員に楽天キャッシュつみたてを(実質)強制している点です。
これって要するに、数字を水増ししたいということですよね。
楽天からすると「楽天キャッシュが使われています!!すごいですよ!」と言いたいわけです。
つまり、楽天カードで1万円を購入してもらうよりも、楽天キャッシュ経由にしてもらえば、「楽天カードと楽天キャッシュ、両方が1万円使われた!」と数字上は言えるわけですね。
楽天のKPI改善のために、楽天キャッシュとかいうよく分からんものをユーザーに強制していく姿勢に、ちょっとイラッとしました。
上図は2022年2月2日の決算資料(楽天証券株式会社2021年12月期 決算説明会)から転載(2022年2月5日にアクセス)したものです。
投資信託積立設定額:月額761億円 とあります。すさまじい額です。
この中の何%が楽天カードつみたてで、その中の何%が楽天キャッシュ経由に切り替わるのか分かりませんが、
仮に50%分が楽天キャッシュ経由に変更されるとすると、楽天キャッシュは毎月380億円が安定して入金・使用されるモンスター電子マネーに生まれ変わります。
今、楽天キャッシュがどの程度使われているのか、楽天グループの決算資料を見てもどこにも楽天キャッシュの文言が無かったので分からないのですが(なぜだ???)、+380億円は美味しいでしょう。
比較対象として、競合のPayPayの決算を見てみます。
上図は2022年2月2日のZホールディングス株式会社 決算説明会 2021年度第3四半期からの転載(2022年2月5日にアクセス)になります。
PayPayの取扱高(決済額の総額)は、FY21第3四半期で14,678億円(YoY+82.0%)。四半期の値(10月~12月)なので、1ヵ月あたりの取扱高4893億円となります。
楽天キャッシュの取扱額が毎月380億円増えたとしたら、PayPayの8%程度の効果があるということが分かります。
見方を変えると、楽天は、ユーザーに仁義なきオートチャージ設定を強制しても、8%しかPayPayに追いつけないのですね。
ウーン、やっぱりPayPayってバケモノですね。電子マネーの覇者感があるなぁ。
楽天キャッシュの今回の改悪発表のページには、以下のようにも書いてあります。
有価証券の購入に電子マネーを利用できるのは、国内主要証券で初めて※5です。
【特許出願中(2022年2月1日現在)】
このようにサイトで謳っていることからも、楽天が電子マネー投資のポジションを確立しようとしていることが読み取れます。
特許という観点では、実施形態として、購入方法が従来のクレカから電子マネーに代わるだけなら、公知例の容易類推に該当すると思うので、これで特許が取れるとは思えないのですが、とれるなら他社の参入障壁になります。
別に楽天を応援しているわけではないですが、自分の資産を預けている会社なので、頑張って欲しいなと思います。
以上、メタラーまとんでした。
ではでは。