メタラーまとんがハイソにやらかすようです

東大理系修士卒JTBCエンジニアのハイソサイエティ(上流階級)な日常

「amazonの絶対思考」を読んだ!100万人超の企業でも企業統治が効いている理由が感じ取れた

ども!JTBCブロガーのまとんです。

アマゾンジャパンの創成期から成長期を経営層として10年務めた星健一さんの書籍「amazonの絶対思考」を読みました。

amazonの絶対思考

amazonの絶対思考

  • 作者:星 健一
  • 発売日: 2019/11/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

amazonは2020年9月に従業員数が100万人を突破したというニュースが記憶に新しいです。

jbpress.ismedia.jp

100万人という数字は驚愕です。

例えばトヨタでも連結従業員数は約36万人です。

JTBCでは太刀打ちできない規模になっています。

こんな巨大な企業を、どうやって統治しているのか。この本から、その片鱗を感じ取ることができました。

組織として「コア」となる規範があって、変わらない。

amazonには社員に求める14項目の行動規範「リーダーシッププリンシプル」があります。

社員は業務のあらゆる場面でこの14項目に立ち返り、意思決定するのだそうです。

この規範は2001年に原型ができ、2011年に今の形になって変わらない。

リーダーシッププリンシプルは世界中のamazonで共通なので、グローバルな会話でも共通言語として使える。

人材採用においても、リーダーシッププリンシプルを満たす人材であるかどうかが採用基準となる。

なので、100万人を採用しても、全社員がこの原則を意識し、体現する。

全社員のベクトルが、第一の行動規範「Customer Obsession(顧客中心の判断基準は妥協するな、顧客第一主義)」をもとに、同じ方向を向いている。これにより、企業統治が働く。

JTBCはカルチャーのガラパゴス化を許容してしまう

この行動規範がamazonの強みだなと思いました。

JTBCで考えると、どの会社も「社訓」とか「ビジョン」「DNA」などの標語で組織を表現しますが、それを実業務で意識したりする場面は稀です。

もっと言えば、隣の部署でも「うちの部署の文化はこうだから!」など言って独自性を認めたり、「うちの事業所は成り立ちが違うから!」などと言って、ガラパゴス化を許容してしまう。

さらに、その組織の上層部が、そのガラパゴス化を受け入れるというか、むしろ誇らしげに語ってしまうフシがある。

それゆえに、スケールメリットが効かない。従業員が多くても、活動範囲が広くても、まとまらない。企業の統治が効かない。ましてや、プラットフォームなんて作れない。

 

amazonでは、そのような独自カルチャーは許されず、全社員が14個の行動規範を意識する。

社員のほとんどが中途採用で、行動規範をもとに採用した人材が集まっているから、このカルチャーが成立する。

amazonの強みは色々あると思いますが、僕が一番強いなと思ったのは、カルチャーによる企業統治およびそれが機能している点にあると思いました。

トップを信用できるという強み

また、リーダーシップをとる創業者のジェフ・ベゾスがまだ現役というのも強いと思った。

JTBCにいると、トップや経営層は数年単位でコロコロ変わり、どんな成果を上げた人かもよくわからないし、正しいメッセージを発しているのか疑問を感じてしまう。

平たく言えば、上の言葉を信用できない。盲信させてくれない。

気が付けば、「上は何も分かっていない。俺の提案の方がいい、俺の方針の方が優れている」という優秀な若手が現れる。

それは良い。しかし、結局トップは変わらないし、自分の半径10メートルを変えても、ガラパゴス化が進むだけである。

 

「盲信したい」という気持ちには、もちろん悪い側面もある。

しかし、大学の研究室では絶対的な教授のことを「盲信」できていた。教授が発する言葉は、どれをとっても自分の発想を凌駕していて、正しいと思えた。信じさせてくれた。

今振り返ると、「盲信できる」環境は幸せであったと思う。

JTBCに入社してからの僕の主要な不満の一つは、「盲信したいと思える上司がいないこと」だ。

グローバルIT企業は、トップのリーダーシップが効いている。

カニズム化する

この本にはジェフ・ベゾスの言葉が色々掲載されていますが、僕が一番好きなのはこれです。

"Good intention doesn't work, only mechanism works."

「頑張るだけじゃだめ、メカニズムだけがうまく事を動かす」

JTBCに共通する課題の一つは、属人化だと思います。

様々な業務が属人化しているのに、それをメカニズム化したり、自動化する投資を重要視しない。

その結果、だれかが長期休暇で抜けたり転職すると、無人化システム(担当者がいなくなってしまったシステム)などの問題が発生する。

「無人化システム」を駆逐する組織マネジメントとエンジニアリング

 

amazonは、業務を少しずつ自動化し、効率化することで、事業拡大してきた。

例えば商品の価格設定を、他社Eコマースと比較して、最低価格に設定することを自動化している。

商品の売れ行きを予測して、自動的に発注して在庫を切らさないようにしている。

このような自動化システムを少しずつ構築してきたことで、効率化を進め、2億点の商品を扱えるシステムを維持できている。

イノベーションは効率化の積み重ね

何より面白いなと思ったのが、これら自動化のシステムなどをイノベーションと呼んでいることだ。

僕はJTBCのエンジニアをやっているが、社内でイノベーションというと「誰も思い付かなかった全く新しいアイデア」のように捉えられがちである。

それもイノベーションの一側面ではあるが、amazonの業務自動化のように、一つ一つを効率化していく施策もイノベーションだ。

このような効率化の積み重ねが企業の成長につながっていて、気が付けば他社が辿り着けない至高の領域に達している。

イノベーションは、必ずしも世界No.1である必要はないのだ。

感想

企業カルチャーというものの重要性を感じた。

JTBCのカルチャーは、メッセージ性が弱く、カルチャーのガラパゴス化を許容している。結果として、非効率なシステムなどの結果につながる。

ただ、企業のカルチャーはボトムアップで変えられるものではないし、一朝一夕でできるはずもない。

僕は、どうしたらいいんだ。

 

以上、メタラーまとんでした。

ではでは。