メタラーまとんがハイソにやらかすようです

東大理系修士卒JTBCエンジニアのハイソサイエティ(上流階級)な日常

結核の集団感染について思うこと。感染症は共存していくしかない

ども!工学系修士のまとんです。

感染症を独学で勉強中の者です。

 

先日、岡山で結核の集団感染(6人)が発生したというニュースが出ました。

「新型コロナだけでも大変なのに、結核まで!?」と思ってしまうこのニュース。

これについて思ったことを書きたいと思います。

結核は今でも日本でポピュラーな感染症

結核とは、「結核菌」という細菌による慢性感染症です。

患者から咳やくしゃみで排出された結核菌を多く吸い込むと感染し、肺を中心に組織が破壊されます。

年間1.6万人の結核患者が発生

日本の結核罹患率は、2017年に人口10万人あたり13.3と「中まん延国」であり、16,789人の患者が報告されています。

この数字は、単純計算で毎日46人が日本で結核に感染しているということになります。

これは、新型コロナウイルス5月中旬〜6月下旬にかけての感染者数と同じ水準です。

この時期、コロナと同じくらい、結核感染者が発生していた、ということでしょうか。(ソーシャルディスタンスしていたので実際は少ないかも)

なお現在、7月に入ってからは、1日200人程度になっていますから、コロナの方が感染者数は多いと考えられます。

BCG(ハンコ注射)が浸透していても、根絶はできない

結核の予防接種は、BCGです。いわゆるハンコ注射です。

年代によって違いはあるかもしれませんが、小さい頃にハンコ注射をした人は多いと思います。

ハンコ注射は今でもなされていて、うちの娘も母子手帳の指示通りにBCGを打ちました。

適切な時期に接種すれば、自治体が費用を負担してくれます。

つまり、今日本で新しく産まれる子供たちは、結核の免疫をつけられるシステムが出来ています。

とはいえ、免疫があっても絶対に感染しないわけではないので結核患者は発生してしまいます。

身近にも結核患者は発生している

うちの娘が予防接種を受けている時期、近所の大学で結核患者が発生しました。

その際、病院から「万が一を考えて、早めにBCGを打ちましょう」と提案されました。

このように結核は、過去の感染症ではなくて、今でも共存している感染症ということが分かります。

そもそも人類が根絶できた感染症は一種類だけ

人類史は感染症との戦いと言えます。

古いものは、コレラ、腸チフス赤痢発疹チフスジフテリア、痘瘡、ペストなど。

これらの多くは、現代ではワクチンがあります。

新しいものは、エボラ出血熱エイズ結核マラリアデング熱、ジカ熱などです。

これらは現代において多くの死者を出しており、今まさに人類の大敵です。

天然痘(痘そう)は江戸時代に牛痘というワクチンが開発された

天然痘は世界中で紀元前から存在した感染症で、日本にも6世紀頃から渡来人によって運び込まれたとされています。

痘瘡の致死率は20-50%と高く、かかったら高確率で死に至ります。

皇族でも大名でも構わず殺し、千年以上も日本人を苦しめてきました。

痘瘡に対しては、種痘、および牛痘というワクチンが開発されました。

江戸時代を描いた漫画(手塚治虫陽だまりの樹 など)では、医師が牛痘を打って回る描写があります。

牛痘を打てば、痘瘡の死の恐怖から解放される。とにかく子供たちみんなに打つべし。というわけです。

【カラー版】陽だまりの樹 1

【カラー版】陽だまりの樹 1

 

1980年にWHOが天然痘の根絶を宣言

その後も根強いワクチンの浸透により、1980年、WHOから痘瘡撲滅宣言がなされました。

このため、現代の日本では痘瘡の予防接種はなされていません。

長い人類史の中で、人類が根絶に成功した感染症は、まだ痘瘡だけです。

結核ももちろん、まだ残っている。

地域によって差はあれど、コレラ、腸チフス赤痢発疹チフスジフテリア、ペスト、エボラ出血熱エイズ結核マラリアデング熱、ジカ熱など、人類の天敵はまだまだ残っている。

さらに、新型コロナウイルスも加わった。

感染症は共存していくもの

感染症撲滅できるとは考えない方が良いです。

今、世界中で巨額の投資がなされて、1.5年で新型コロナのワクチンができて、凄まじいスピードでワクチン摂取がなされたとしても、数年程度では新型コロナが撲滅されることないでしょう。

既に世界中に蔓延してしまっているから、運が良くても50年はかかるのではないか。

既にワクチンがある他の感染症を先置いて、新型コロナが根絶するとは、考えにくいですね。

騙し騙し、ニューノーマルで生きていくしかない

具体的に言えば、新規感染者数が0になることはまずないでしょう。

「コロナが終わったら」というのは夢物語です。

感染者が増える中でも、騙し騙し、ニューノーマルで人間生活を営んでいくしかないわけです。この意識が大事。

 

では建設的な議論をするとしたら、ニューノーマル」をどのレベルにするか、です。

マスクを着けてソーシャルディスタンスすれば十分なのか、はたまた都市のロックダウンが必要なのか。

僕は、ソーシャルディスタンスを徹底して、ロックダウンは避けたいです。

家の外で、子供に色んな経験をさせてあげたいので。

感染症を独学するなら

この本で感染症について一通り学べるのでおすすめです!

感染症の近代史 (日本史リブレット)

感染症の近代史 (日本史リブレット)

  • 作者:孝, 内海
  • 発売日: 2016/10/01
  • メディア: 単行本
 

この本について僕なりにまとめた記事はこちら。



以上、メタラーまとんでした。

ではでは。